雑誌「GALAC」の
2013年7月号掲載
2013年6月9日(日)配信記事をネットで見つけました。
放送批評懇談会が選ぶベスト番組【ギャラクシー賞月間賞】
探偵!ナイトスクープ
「10年以上口をきいていない父と母」
朝日放送 4月5日 23:17~24:15
「探偵!ナイトスクープ」は、
今年、放送開始から満25年を迎えた関西の人気バラエティ番組だ。
視聴者から寄せられた調査依頼を、
探偵が依頼者に代わって解決していくというシンプルな番組だが、
毎回、笑いあり、涙あり、驚きありと、
さまざまな人間ドラマに出会うことができる。
今回取り上げるのも、そんな奇跡的な人間ドラマだ。
依頼者は奈良県に住む18歳の息子。
59歳になる彼の父は、
自分が物心ついたときから10年以上も、
母と口をきいていない。
このままでは熟年離婚にもなりかねないので、
父がしゃべらない理由を解明し、
できることなら夫婦が仲良く会話する姿を見てみたいという。
実際、調査をしてみると、
父親は子どもたちには普通にしゃべるが、
母に対しては無言を貫き、目線を合わせようともしない。
調査を続けると、
21歳、25歳の姉も、
両親が会話する姿を一度も見たことがないという。
母に直接会って尋ねると、
2人目の子どもができた頃から会話が無くなったらしい。
話を総合すると、
なんと23年間も2人は口をきいていないことになる。
母も「お父さんと話がしたい」と寂しそうに言う。
ウソのようなホントの話だ。
いよいよ探偵が父に直接話を聞く。
そこで語られた理由は意外なものだった。
「子どもが生まれてから、子ども中心の生活になり、すねてしまった……」。
父は実は母のことが大好きで、
ここ10年ほどはしゃべりたくてウズウズしていたらしい。
最後は、探偵が思い出の場所、奈良公園で2人きりのデートをお膳立てする。
子どもたちが固唾を飲んで見守るなか、
父はついに23年ぶりに母に話しかける。
意地を張りすぎた父の姿はいかにも滑稽だ。
しかし、ちょっとしたボタンのかけ違いで、
相手に対して引っ込みがつかなくなるのは、
誰にでもよくあることだろう。
そんな人間の可笑しさ、哀しさ、愛しさに触れることができる、
「ナイトスクープ」らしい素晴らしいエピソードだった。
父の、母に対する愛は、話さなくても変わらず、
母の、父に対する愛も、変わらなかった。
そして、子供たちも家族を深く愛しているから、
ドラマのような、ドラマより素晴らしいエピソードが生まれるのですね。
できれば、リアルタイムでその放送を観たかったです。
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